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2008年11月

続・トリックと、おもてなしと

L0501

そだそだ、うっかり忘れるとこでした(汗)。
Lのお誕生日(10/31)記事で、わしのLメイトであるMARU氏の
渋いえるるんイラストが愉しめるぞ!(なんとホクロ付だぞ)
スマツなみぶろぐ↓
http://smanami.blog6.fc2.com/

そして、こちらもまた

* * * ↓妄想アワーは続くよ * * *

     しばらく経って、トイレから戻ってきたL。
     キラ対策室の内部は、まるで何もなかったように平常で
     メンバーも、それぞれが仕事を続けている。

     ただ、いつものテーブルの上に
     しっかり、バースデーケーキが置かれていて
     さきほどの出来事が、夢や幻ではないということは見て取れる。

     ソファに座り込み、ケーキをじっと眺めるL。
     おもむろに立ち上がり
     ケーキを抱えて、ワタリのもとへ行く。

     Lに何ごとかを伝えられたワタリが
     ケーキを手に、部屋を出て行く。

     知らんぷりを決めこんでいる対策室のメンバーだが
     そんなふたりの様子が、気になってしかたない。
     とくに松田は、目にあまるほどソワソワしている。

     しばらくしてワタリが
     人数分にきれいに切り分けたケーキを
     ワゴンに乗せて、戻ってくる。

夜神  「(目の前に皿を置かれ)これは?」

     ワタリ、穏やかに微笑む。

ワタリ 「竜崎が申すには、バースデーケーキというものは、通常
     その場にいる全員で、切り分けていただくのが慣わしではないかと……」

     全員のデスクにケーキを置いていくワタリ。

月   「(爽やかに)ありがとう。いただくよ、竜崎」

松田  「(やたら嬉しそうに)いただきます」

     口々に「ありがとう」「いただきます」と言うメンバー。

     Lはというと、いつものソファに座り
     あらぬ方向を眺めながら、ケーキの上に乗っていた
     「happy Birthday」と描かれているチョコの部分を
     バリボリかじっているのであった。

     ……っちゅう感じで(妄想おわりッ)。

Tc0601
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ドミノ

03

恩田陸氏の著作については
先日、「ユージニア」を、紹介していましたが
読んだのは、じつはこっちのほうが先です。

恩田陸「ドミノ」(2001 角川書店・2004 角川文庫)

先日レビューを書いた、歌野晶午「女王様と私」と
この「ドミノ」の2冊を
図書館から借りてきて、読んだわけなのですが
両方を読んでしまったあとに、つくづく思ったんです。
「ああ『ドミノ』をあとにしといて、本当によかった~」って(笑)。

 * * *

赤レンガの東京駅を舞台とした
シチュエーションコメディ風の小説です。
いつもの恩田陸とは、少々作風が違う気がします。

一億円の契約を持って走る生命保険会社
ミュージカルのオーディションを受ける子役少女
推理合戦をする大学生グループ
別れ話の進むカップル
俳句会に出席するため地方から上京した老人
ホラー映画のカリスマ監督とその連れ……などなど
とにかく、さまざまな登場人物(計27人+1匹)が
一気に出てきて、さながら
往年のパニック映画のイントロのよう。

本のしょっぱなに、人物紹介の欄がいちおうありますが
(単行本には、似顔絵までついていたらしい)
ちょっとすごいのは、これをぜんぜん見てなくても
登場しているキャラクターの見わけがつく、ということ。
本当にわたしは、まったく見ずに読みましたから!

ほとんど「あれこれ誰だっけ?」なんて前に戻ることもなく
スピーディかつトリッキーな展開で
ラストまで、ぐいぐい読み進めることができます。
恩田陸のこのうまさ、タダモノじゃない。

この登場人物たちが、さまざまな状況でぶつかったり
クロスしたり、合流したりしながら
最後には、東京駅がとんでもないパニック状況に陥ります。

ちょっとムチャかな(笑)と思う部分もあるけど
エンターテインメントだもん、これぐらいド派手でいいよね!

 * * *

恩田陸氏の、腕の確かさをじっくり味わいつつ
軽く、気負わずに読める1本でした。
読後感は、もちろんスッキリ!

Tc0109
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となり町戦争

01

いまでは、そういうこともなくなったのですが
うちの電話番号、どこぞの青年会議所か商工会議所だかに酷似しているらしく
むかしは結構、まちがいファクスが届いておりました。

いわゆる「町おこし」の企画書などもありまして
「へえ~、いろんな町おこしイベントがあるもんだ」と関心しつつ
そのまちがいファクスを、眺めていたものでありましたが

三崎亜記「となり町戦争」(2004 集英社・2006 集英社文庫)は
「戦争」をそんな町おこしに使っているという、ぶっ飛んだお話です。

 * * *

ある日、広報に載った、となり町との戦争開始のお知らせ。
偵察業務に就かされた主人公「僕」は、その業務遂行のため
となり町戦争推進室の、香西という女性と便宜上、結婚して
ふたりでとなり町に暮らすことになる。

しかし、戦時にもかかわらず、町はあくまで平穏。
かろうじて戦争状態と感じられるのは、広報で発表される戦死者の数だけ。

戦争に対する実感のないまま、となり町との戦いは続き
やがて「僕」自身が、それに巻き込まれる日が来た。

「戦争」の正体を、見たと思ったのもつかのま
それは再びうやむやな形になり、やがて「僕」の前から姿を消す。

 * * *

この物語で描かれる戦争の、実態のなさは
まさに、自分たちがいま現実にみている戦争を想起させ、じつに気色が悪いです。

戦争をあくまでも「公共事業」としているお役所についても同様で
うちの地元で、みんなよくわからないまま進んでいるらしい
「世界的にも貴重な自然資源とされている海をわざわざ埋め立て農地にする計画」
「そこまで金をかけても意味はないと皆が感じているのになぜか進む新幹線計画」
などのことまで、ついつい思い浮かべてしまいましたさ(苦笑)。

どんなにTVを見ても、インターネットで調べてもわからないと思う。
わたしたちが見たいのは、知りたいのは、そんな「情報」なんかじゃないんだよね。
もっと本質的なもの、というか。うまく言えないのだけれど。

逃走中の「僕」が、隠れた段ボール箱の中で感じた、何かの重み。
あれが、わたしにはけっこうズシリときました。
あと、文庫版には特別書き下ろしのサイドストーリーがついてて
それがまた、ズシリときます。

 * * *

あと、すっごく下らない余談なんですけど……。
いつも何だかぼーっとしてる、この主人公「僕」のイメージを
「ポカリスエットイオンウォーターのCMに出てたつよぽん」
で、読んだんです(「しみるなー」って窓ぎわでつぶやくやつ)。

この小説が映画になっていると知り、さっそく調べてみたところ
香西さん役の原田知世さんが、イメージぴったりだったのに対し
「僕」のイメージが、全然ちがう役者さんだったのでびっくり。
いや、江口洋介さんに罪はないけど(汗)あまりにもちがうでしょ、ちがうでしょ。
「ポカリスエットイオンウォーターのCMに出てたつよぽん」とは!

Tc0205
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闇の子供たち(1)

そうそう、申し忘れていましたが
「メールフォームか拍手機能が欲しい」
という要望にお応えして、メールフォームを設置しました。

Linkの項目の「mail to “tomtit”」というところを
ポチッとしてくださいませね!

というわけで……今日は映画……レビュー(重)。

ああ……じつに重い、重い映画でした。
風邪をひいた、その病み上がりだというのに
週末までの上映だというので、慌てて観に行ったわけですが

体力、気力ともに消耗し、免疫力が落ちて風邪をぶり返し
近所の診療所に駆け込むというありさま……。

「闇の子供たち」(2008/阪本順治 監督)
同タイトルの、梁石日の小説が原作です。
2002年に幻冬舎から発売され、文庫にもなっています。

 * * *

タイ駐在の新聞記者、南部浩行(江口洋介)は
闇のルートで流れているという、臓器の密売に関するネタをつかむ。

いっぽう、ボランティアのためタイに来た音羽恵子(宮崎あおい)は
福祉活動で貧しい家々を訪ねるうち
その家の子どもが「売られた」ということを知り、はげしく憤る。

貧しさゆえに売られた子どもで、健康な子は
生きたまま、臓器移植のドナーとなるのだ。
あるいは、大人の欲望の餌食となり
病気にかかったら、ビニール袋に詰められゴミとして捨てられるのだ。

タイという国の暗部に横行している人身売買の実態は
普通の人間なら、目をそむけたくなるような
まさにすさまじいものだった……。

 * * *

終わったあと、重い足どりで映画館の階段を下りていると
同じように重い足どりのご婦人がたが数人。
重い口調で、感想を述べあっていました。
「これは……子どもには、見せられない映画だわね……」
わたしも、ココロの中で激しく同意。

大人の醜さを表現する正視に耐えないシーンが続き
子どもどころか、大人が見ても、かなりのショックを受けます。

そうだよ、あの連中に対しては
もうデスノートがんがん使っちゃっていいと思うぜ!
それも考えつく限りのチョー不快な方法だ。
痛いしかゆいし、苦しいし、ねばねばしてるし臭いし
しかもそれが長時間続くし、みっともないし恥ずかしいし
あとあとまで、みんなにバカにされるし……みたいな
とんでもなく酷い死にかたでオッケーと思うぜ!

それこっちくれこっちに

あ、すまねえ(ハア、ハア)熱くなりすぎた……。

つい先日、「となり町戦争」についてのレビューで
この人はちょっとイメージちゃうやろ、なんて(汗)
生意気なことを申しておりましたが
この「闇の子供たち」における、南部という役はまさしくハマリ役でした。
江口洋介さん本人のキャラクターからにじみ出る
強くあたたかい人間性が、とても頼もしく感じられ
それがゆえの、南部の狂おしいほどの葛藤が伝わってきました。

でもね、せっかくの可愛い宮崎あおいちゃんだというのに
始終きびしい表情だから、あまり癒しにならないの~(汗)。
中盤から活躍するカメラマン・与田博明役の妻夫木聡くんが
なんだかいつもフニャ~って感じで
わたしは、彼が出るたびにじつはホッとしていました。

ええっと、まだまだ感想はあるんだけど
長く重くなりそうなので、つづく。

Tc0205
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major 第3場(後半)

Tm02

【登場人物】
・大山賢太……末広大学2年生。19歳。映研部員。初の監督に挑戦中。
・黒木カオル……末広大学2年生。19歳。映研部員。屁理屈が多い。
・水村好男……末広大学2年。20歳。映研部員。通称よっちゃん。
・猪又博史……末広大学映研OB。24歳。卒業してから2年。
・猪又美耶子……猪又博史の妻。22歳。
・谷 雪耶……猪又博史の友人。24歳。末広大学4年生。

【第3場 (後半)】

猪又 「(大山に)で? 結局やめるのか」

大山 「……あきらめます」

     大山、ため息をつく。

大山 「才能ないってわかったし。好きとできるは、違うと思いました」

猪又 「好きとできるは、違うよね」

     猪又、大きくアクビをする。

猪又 「俺も同じ」

大山 「え……(猪又を見る)」

猪又 「尊敬する人の作品を見て初めて、自分もやろうって思ったとことかさ」

     猪又、コリをほぐすように首をまわす。

猪又 「でもさあ、大変だったよ」

大山 「大変……ですか」

猪又 「うん。いろいろあったし」

大山 「いろいろ……ですか」

猪又 「そんときはね、谷が助けてくれた」

大山 「……谷さんが」

猪又 「うん、めっぽう頼りにしてた。
    いつもあんな調子だけどな。けっこうすごいよ、洞察力とか」

大山 「ふうん」

     猪又、アクビをする。

猪又 「映画ってさ」

大山 「はい」

猪又 「ひとりで作ってるわけじゃないじゃん」

大山 「……はい」

     大山と猪又、しばらくそれぞれの思いにふける。猪又、アクビをする。
     黒木、テーブルに置いた本を1冊手に取り、また置く。

猪又 「だからさ、要するにいま、ココロの中で、何がメジャーか、じゃないかな」

大山 「はい?」

猪又 「何がいちばん大きな位置を占めてるか」

大山 「……はい」

猪又 「それって、ごまかせないもんだろ」

大山 「はい」

猪又 「例えばさ、いまの俺、知ってるっけ」

大山 「……(ピンと来ない)」

     猪又、軽くジェスチャーで。

猪又 「いま、これ(妻が妊娠中)で、これ(就職した)だろ?」

大山 「あっ」

猪又 「少なくとも、現在のいちばんは、映画じゃないなって感じだろ?」

大山 「……はい」

猪又 「でもさ、状況って変わるもんだし……」

     黒木が、いきなり立ちあがる。
     そして無言で、足早に下手へ去っていく。
     それを呆然と見送る大山と猪又。しばらく言葉が出ない。

大山 「……本当は」

猪又 「……」

大山 「本当は、やりたい。……すごくやりたい」

猪又 「……」

大山 「すごく映画作りたい。映画作りたい。作りたい作りたい作りたい」

     さめざめと泣く大山。

     やがて、下手から黒木が戻ってくる。手にコーヒー缶を1個持っている。
     テーブルの前まで来ると、缶をさりげなく猪又の前に置く。

猪又 「……サンキュ」

     黒木が、ポケットから缶をもうひとつ取り出し、大山の前に置く。
     大山、きょとんとして、コーヒー缶と黒木を交互に見る。

     やがて、泣きっ面のままニヤリとする大山。

大山 「(缶を指さし)オブジェクト」

     黒木、思わずクスリと笑う。
     反対側のポケットから自分の分の缶を出し、上手の席に座る。
     黒木の頭を、後ろからうれしそうにカバンでこづく猪又。
     大山、缶を開け、ニコニコおいしそうに飲む。

猪又 「お前もだよ。鳴いたカラスがなんとかだよ(大山をバカバカとカバンでぶつ)」

大山 「あーこぼした。こぼしましたよ(笑う)」

     下手より谷が登場。やたら後ろを気にしている。

谷  「なーにやってんだよ。早く来いよ。ほら」

     谷、いったん下手に戻る。
     谷に腕を引かれて、おでこに冷えピタを貼った水村が登場。
     水村は、前にも増して憔悴しているようす。
     
大山 「よっちゃん」

谷  「そこの植え込みんとこで、泣き声がすんだよ。ひんひん、ひんひん。
    真っ暗なのにいったい何がいるのかと思ったら、こいつだよ」

水村 「……大山くん」

     水村、いきなり大山に向かって土下座。

水村 「ごめんなさい。お金……どうしても見つからない。
    ごめんなさい。ごめんなさい。ぼく、働いて返すから。
    一生かかっても働いて、返すから。本当に、ごめんなさい!」

大山 「……よっちゃん」

     大山、水村の前に座る。

大山 「べつに、一生もかかんなくていいよ、10万円だもん。
    ……ていうか、もういいよ。いいよ。いいってばいいよ」

     大山、水村を抱き起こす。

大山 「こっちこそ……ごめん」

水村 「……大山くん」

大山 「……よっちゃん」

水村 「大山くん!」

大山 「よっちゃん!」

     互いにひしと抱きあい、おいおいと号泣する大山と水村。
     言葉もなく、ただ見つめるしかない残りの3人。
     しばらくして、猪又が谷に言葉をかける。

猪又 「……メール、サンキュ」

谷  「よかったじゃん」

     大山と水村、ハムスターの埋葬先について、
     ボソボソと相談をはじめているようす。「薬学部の畑に」とか言っている。

谷  「かわいい後輩たちのイザコザ、解決ついて」

     猪又と谷を、さりげなくうかがう黒木。

猪又 「話さなきゃって思ってたんだけど」

谷  「話なんてないよ(帰ろうとする)」

大山 「(気付いて)谷さん!」

     大山が、谷の前に立ちふさがる。

大山 「猪又さんと、きちんと話して下さい」

谷  「……」

大山 「猪又さん言いました。前にいろいろあったとき、谷さんが助けてくれたって。
    猪又さん、谷さんをめっぽう頼りにしてたんですよ」

谷  「チケットの数、違うもんなあ」

大山 「……(息を飲む)」

谷  「(脇をすり抜けながら)わかってんだよ、そんだけだってね」

猪又 「(同時に)谷!」
大山 「(同時に)谷さん!」

     猪又、立ちあがる。大山がふたたび谷の前に立ちふさがる。

大山 「そんだけのわけないですよ。だって……だって、
    同じ目標持ってたわけじゃないすか。
    映画作るって。だからずっと一緒にきたんでしょう?」

谷  「……(目をそらす)。

大山 「あ、ひょっとして、妹さんのことで」

谷  「(大山を見る)妹は関係ねえ!」

     谷、苦しげに目をつぶる。

谷  「最初からだ」

大山 「最初……」

谷  「わかんないんだよ、目標なんて言われたって」

大山 「……」

谷  「わかってんだよ。いつでも俺は便利に使われてるだけだって。
    けどそうでもしなくちゃ、何のために俺はいるのって……」

猪又 「谷!」

     谷、猪又を見る。

猪又 「なんでそんなふうに考えんだ。
    お前、俺にないものいっぱい持ってるじゃないか。
    ずいぶんフォローしてくれてたじゃないか。
    それでこっちはすごく助かってて……」

谷  「ほら」

     口をはさみたいのにできない大山。
     冷静な黒木。
     水村はずっと固まった状態。

谷   「いつでも自分が中心にいて、まわりがみんな自分のためにあると思ってる」

猪又 「……」

谷  「いつでも自分が中心だと思ってる」

猪又 「……」

谷  「何でも思ったようになってる人間の、傲慢さだ」

     猪又、ついと前に出る。

猪又 「思ったように、なってるだって?」

     猪又、谷とにらみあう。

猪又 「お前、そんな風に見えるのか。あ? いまの俺がそんな風に見えるのか。
    ああ、たいした眼力だよ。俺が傲慢だって?
    そういうお前は何なんだよ(谷の襟首をつかむ)何なんだよ。
    えらそうに言うなよ。何も作ることできないくせして!」

     次の瞬間、2人のあいだで激しい取っ組みあいがはじまる。

猪又 「……作りたいんだよ。畜生ッ!」

     おろおろする大山。
     冷静な黒木。
     水村はめそめそ泣き始める。

大山 「やめてっ、ふたりともやめてっ」

黒木 「(大山に)大山よせ」

     なおかつ仲裁に入ろうとする大山、とばっちりのパンチを豪快にくらう。
     気を失い、大の字になって倒れる。

水村 「大山くん!(駆けよる)大山くん大山くん!」

     猪又と谷、荒い息をしながら、毒気を抜かれたように、その場に座りこむ。

     大山、意識を取りもどす。

水村 「大山くん」

大山 「あ、よっちゃん」

     大山、起きあがろうとするが起きあがれない。

黒木 「だからよせって言ったんだ。
    ケンカの仲裁ほど、リスクの大きいものはないんだぞ」

谷  「……黒木さあ」

     黒木、谷を見る。

谷  「お前も、もっと身体使えよ」

     憮然とする黒木。
     思わず吹き出す大山。
     つられて水村が笑う。猪又も笑う。

猪又 「じつは俺、さっきからすっげえ眠いんだってば」

     谷と黒木が笑いだす。
     しばらく、みんなでひいひい笑いつづける。
     暗転。

Tc0210
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闇の子供たち(2)

「闇の子供たち」(2008/阪本順治 監督)の感想、パート2です。

長く重くなりそうと言ったのは、わはは、正解だったな(汗)。
↓以下、漢字がいっぱい並びますぞ。

 * * *

シーンとしては短かったのですが
物語の中で、子どもに移植を受けさせようとする
日本人夫婦(佐藤浩市、鈴木砂羽)が、じつに印象的でした。

この部分に関しては、完全にフィクションで
日本人が、タイで心臓移植手術を受けた例はないし
わが子のために他の子を犠牲にしてもいい
などという親は、存在しないということです。

だけどこの映画のように
これから、モラルが絶対に崩れないともいい切れません。

もしわたしが、鈴木砂羽演ずる母親で
同じ状況におちいったとしたら、おそらくこう考えるでしょう。

「どうせ、親から捨てられた子でしょ。
誰も生きることを願っていないような子なんでしょ。
その点、わたしは子どもを愛している。
わが子が生きることを望んでいる。
わたしはこの子に高い教育を受けさせて
社会に役立つ、価値のある人間に育てあげることもできる。
結局はのたれ死にするような子の生命をもらうことは
悪いことじゃないでしょう?」

ええ、じつに自分勝手な、まちがった理屈です。
しかし、このように自分の良心をごまかしてまで
わが子の生命を救おうとする親の心は、誰も責められません。
責めるべきは、そういう人の心の弱みにつけこみ
私腹を肥やそうとする者たちです。

ですが、彼らの話に乗り、金を出すことが
結局は彼らが闇の世界に蔓延する手助けとなっている事実は
認めなくてはならないでしょう。

ところで何度も言いたいから言うが、吐き捨てるように言うが

あの客らは、ゴミ以下だぞ!
(こんな比喩に使うこと自体、ゴミに対して申しわけないぞ!)

Ty18lsi

ただ、そうでありながらも業界の内部、特に末端には
なんとか生き延びて、大人になることができたけれど
結局その世界から抜け出すことができず
連れてこられた側から、連れてくる側にまわっただけの者もいて
いっそうそれが、こちらをやるせない気にします。

この悪循環が、どこから生まれてくるものなのか。

わたしたちはわかっているはずです。
でも正直、何をどうやって、どこから手をつけていいのかが
もう全然わからない。だから何もしない。

静かながらも、まるで腹をえぐられるような強烈なラストシーン。
あの、己の顔を呆然と眺める登場人物たちの姿に
すべては自分たちなのだよ、と言われているような気がしました。

 * * *

そして、わたしは完全にダウンし
免疫力が落ちて、風邪をぶり返し
近所の診療所に駆け込むハメになって
数千円の出費を、余儀なくされたわけなの……。

Tc0205
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新しいぼくらの名前 2

Ty17l05s

 * * * 《 2 》

 スルガさん、話は長くなるけどいい?
 ぼくの故郷がタイの田舎の、焼き払えばすむ程度の小さな村だったっていうことは知ってるよね。
 農業を生業とする小さな山村。うちは父親と母親、兄と姉とぼくに小さな弟の六人家族だった。ぼく以外の兄弟はみんな普通で、ぼくだけが異質な存在だった。村の人たちとの付き合いはあまりなかったね。でもそれは、ぼくのせいじゃないよ。父親が相当なろくでなしだったの。
 ある夜、両親の言い争う声で目を覚ました。
「自分の子なんだから、どうしようと勝手だろう!」
 父親の声だ。
「借金は消える。あの気味悪いのがいなくなって厄介払いもできる。いいこと尽くめだ。何の文句があるんだ?」
 察しはついたよ。どうやら父親は自分の借金のかたに、ぼくを巷で噂されてた人身売買組織とやらに売り渡したらしい。
「わからないのかい、あの子は特別な子なんだ。神さまから授かった子なんだ。そんなことして、罰があたるに決まってる……」
 そういう母親の声は小さく弱々しくて、とてもぼくを守れるとは思えなかった。
 でも、正直ぼくは嬉しかったよ。だってお母さんはいつもぼくには、兄さんや姉さんや弟にするみたいに笑ったりかまったり、あまりしなかったし。だからそのとき、そう言って庇ってくれたことは単純に嬉しかったんだ。
 でもまあ結局、どうあがいたってぼくは次の日には、業者に連れてかれる算段になってたんだけどね。

 ところが翌日、来たのはそいつらじゃなかった。あの殺人ウイルスだった。
 皮肉だね。考えてみればぼくは、殺人ウイルスに生命を救われたことになる。
 だってあの事件が起きなきゃ、ぼくは人身売買業者のものになって、生きたまま臓器を抜かれたか、あるいは金持ちの大人の男を相手に、好きなようにされてたってことだから。そうなったらもう、たぶんこの世にはいないでしょ。
 ……スルガさん、そんな顔しなくていいよ。大丈夫。話してる本人がいまこんなふうにピンピンして、笑って話してんだからさ。

 ウイルスにはね、まず小さい弟がやられた。その後、数日のうちに兄と姉。父親は喉でも渇いたんだろうね、裏のドブ川に頭を突っ込んだまま死んでた。
 母親は赤黒く変色した弟の亡骸とともに、衰弱しきった身体で家の奥の暗がりに横たわっていた。水を持っていこうとしたぼくに「近づくな」と枕を投げつけた。コップがひっくり返ってぼくのシャツはびしょ濡れになったよ。
「お前がやったのか」
 母親は、ぼくの本当の名前を呼んだあとそう言った。
「わたしらへの罰なんだろう? お前をひどい目にあわせようとしたわたしらへの罰なんだろう?」
「違う、ぼくは……」
 何もやってない、なんて言えなかった。確かにぼくは何もやってない、やってないはず。だけどぼくだけ元気でいるのはなぜ? 自分でもわからない。そもそも目の前で起きてるこれは何? 何デミンナ血ヲ流シテルノ? 何デミンナ死ンデッテルノ? オ母サンモコレカラ血ヲ流シテ死ヌノ?
「……おかあさん」
「くるな!」
 お母さんは、ごふっと口から大量の血を吐きながら叫んだ。
「気味の悪い子だけど神さまから授かった子だからと思って育ててきたのにお前は神さまから授かった子なんかじゃなかった。化け物だった。何てことだろうわたしはこれまで知らずに化け物を育ててきたんだ。このやろう化け物。死ね、死ね化け物、死ね」
 呪詛のようにくり返しながら、手当たりしだいにものをひっつかんで、ぼくに投げつけた。たまらなくなって家を飛び出したよ。村の、人々が倒れてもがき苦しむ中を走って突っ切り、そのまま森に入った。下草がどんどん身体にあたった。足をとられて何度も泥の中に転んだ。
 もう死んだっていいって思った。
 きっとぼくは、お母さんの言ったとおり残酷に人を殺す化け物。ぼくなんかがこの世に生きてちゃだめだったんだ。なぜ気付かなかったんだろう死んだほうが楽だっていうことにって。いままであんなに生き辛かったくせに、なぜ気付かなかったんだろうって。

 いきなりどすんと誰かにぶつかって、ぼくは地面に尻餅をついた。ぶつかったのは青い服を着た男の人。Fだよ。
 でもそのときは、ぼくを連れに来た業者のやつだって思った。変だよね。直前まで自分は死んでもいいぐらいに思ってたのに、やっぱり怖いものは怖いんだ。
 パニックになって逃げようとしたぼくの腕をぎゅっとつかんだまま「君はあの村の子だろう?」と、Fは問いかけた。
「信じられない。君はあのウイルスに触れたのに発症していないんだね」
 ぼくをつかんだFの手は、ものすごく熱かった。
「ういるす……ういるすって何」
「君の村の人たちをあんなにした犯人だよ。残念ながらこのぼくも遅かれ早かれ彼らと同じようになる。ここで君と出会えたのは幸いだった。君があのウイルスから世界を救うキーになるかもしれない」
 Fはそこで自分の名を名乗り、ぼくの身体にまったく異常がないことを再確認すると、それまで彼が野営してたという場所にぼくを連れていった。ぼくは水と食料を渡され、自分がふたたび迎えに来るまでこの場にじっと隠れているようにと告げられた。

 あとは、スルガさんもご存知のとおりだ。その後ぼくは、Fから殺人ウイルスについての重要データを託された。あれがぼくのせいじゃないと知って、正直ほっとしたよ。それから日本に来て、Lや真希お姉さんや、スルガさんにも会ったんだよね。
 いろんな人に名前を聞かれた。でも、それを言おうとするたびに血まみれのお母さんの顔が、ぼくに「死ね」と言う声が頭のなかで甦った。ぼくはもう自分の名前を忘れたいと思った。嫌な、忌まわしい記憶でしかない名前なら、ないほうがいい。いっそのこと名前なんていらない。そう考えてた。だから誰にも言わなかった。

 あるとき、Lがいきなり「やはり名前がないと不便だ」とつぶやいた。
「わたしはこれから、あなたをニアと呼ぼうと思います」
「ニア……『そばに』ってこと?」
 はい、とLはうなずいた。
「きちんと数えていたわけではありませんが、あなたがわたしのそばに来てからいままで、わたしはその言葉をいちばん多くあなたに対して発している。ですからそれを、あなたの呼び名にするのは順当だと思いませんか」
 瞬間、ぼくはめちゃくちゃグッドアイデアだと思ったよ。
「うん思う! 思うよ!」
 大きく叫んで笑ったら、Lも「気に入りましたか」と口の端を上げた。

 ねえL、ぼくにこの名前をつけてくれたのは、ぼくにずっとそばにいて欲しいからじゃなかったの?
 それとも、もう事件を解決してしまったから、ぼくのこといらなくなった?
 ねえL、応えてよ。L。

 * * *

 ……あのときは、こんなにきちんと順を追って話さなかったと思うよ。恥ずかしながら、ぼくかなりテンパってたからね。自分でも計算違いだったって思うのは、涙を見せて少し気を引くだけのつもりだったのに、ついついマジ泣きしちゃったこと。自分がまだ感情の抑制が効かない子どもだってことを、すっかり忘れてたんだ。

 気付くとLは橋の途中で、足は向こうに向いたまま、猫背の身をねじるようにしてこっちを見てた。夕陽が逆光になってたから、表情はつかめなかった。
「L!」
 ぼくが叫ぶと同時にあの人はくいっと踵を返し、一気につんのめるようにして足をこっちに踏み出した。そのまま前にがくりと崩れ落ちそうになったあの人の胸に、思わずぼくは走って飛び込んだよ。
「L、行かないで」
 膝をついたあの人の首根っこに、ぎゅうっとしがみついてぼくは泣きながら訴えた。
「ぼくをひとりにしないで。ずっとぼくのそばにいて」
 Lは、返事をしなかった。
 返事をしなかったけど、そのかわり、ゆっくりとぼくの背中に手をまわして、その手でぼくを、うんと力いっぱい抱きしめてくれた。

Tc0604
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月曜日に乾杯!

05

何も知らず適当に見た映画が、じつはなかなか傑作だった!
という経験は、みなさんにもおありでしょう。

この「月曜日に乾杯!」(2002/フランス・イタリア)は
わたしにとって、そんな映画のひとつです。

 * * *

フランスの小さな村。工場に勤めるヴァンサン(ジャック・ビドウ)は
ごくごくふつうの中年オヤジ。
母と妻と2人の子がいますが、誰にも相手にしてもらえません。
単調な、変わり映えのない暮らし。
そんな生活にうんざりした彼は突然、旅に出ることを思いたちます。

このあたりまでけっこう長く感じられ
じつは最初、「選ぶの失敗したかな」と思ったりもしたのです。
ずっと退屈なシーンの連続で、船を漕ぎそうになることもしばしば。

旅の途中でヴァンサンは、女装をしたかつての同僚に再会します。
「おぉお、まさかソッチに展開するの?
       このオヤジ、ソッチの方に冒険してしまうわけ?」
と、ちょっと目が覚め、座りなおしたりもしたが

別ニソノ後、ナニモ起コラナイ……。

……?

ヴェニスに到着したヴァンサン、楽しく街を見てまわるが
あろうことかお金をすっかり無くしてしまう。

「おお、ここから新たな冒険がはじまるわけよね!」
と、またふたたび、期待をしてみたはよいが

ヤッパリソノ後、ナニモ起コラナイ……。

…………??

この作品が「そういう味わいの映画」なのだと、気づくまで
わたしは、このあたりまでかかったわけなの(笑)。

 * * *

それに気づいたあたりからこのお話は、がぜん面白くなってきます。
父親の旧友という、落ちぶれ貴族(オタール・イオセリアーニ監督本人だ!)や
修道院をのぞき見しようとする、アホな男どもや
魅力的な(しかしふつうの)人々が、たまらなくいとおしく感じられます。

退屈な毎日でも、視点を変えることで
こんなにも生き生きと、人生を楽しむことが出来るんだ!
という強いメッセージを発して……いるわけでは、なさそうな(笑)
タラタラ~とした感じが、たまらなく心地よい映画。

それからなぜ、途中まで「退屈だ~」と思っていながら
見続けられたかというと、たぶん、映像があまりにもみごとだったからです。

イオセリアーニ監督は、緻密な計算のもとに映像を作り上げる人らしいのですが
たしかに、美しさにプラスして「この先、何かが起きるかも」という
物語への期待を感じさせられるような、不思議な映像なのです。

わたしが好きなのは、街道沿いの休み石のシーン。
村人が石に腰を掛けて休む、というただそれだけなんだけど
あそこでは正直、目が離せませんでした。

 * * *

あとこれ、まったくの余談なんですけどね。
映画を見る前の情報入手は、大事な場合もある……ってお話で。

友人が、タイトルだけで選んだ「ゆれる」(2006・西川美和監督)を
てっきりホラー映画だと、思い込んでいて
物語が3分の2ぐらい進むまで、ホラーだと思って見たんだそうです。
「『あ~、ここから怖くなるんだな。次から怖くなるんだな。ここからかな』
 と思って、ずっと見てたんだけど、最後まで、ならなかった……」
って、あたりまえじゃ(笑)。

「ゆれる」は、わたしは未見なのですが
どうしよう。見たらきっと絶対笑うよ。
「ああ、ここからホラーになると思ったんだ!」
なんて、ついつい考えてしまって。

Tc0118
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犯人に告ぐ

くだらないこと聞きますが、ゆうべのスマスマ。
テロップにあった「脳天とホホ肉」ってのを「脳天トホホ肉」
読みまちがえた人って、どれくらいいるかしら~ん?

いや、今日するのはそんな話じゃなくて(笑)
その前の夜、地上波TVで
「犯人に告ぐ」(2007/瀧本智行 監督)を観ました。

じつは、さらにその前の夜、ビデオレンタル店で
気になって、DVDを手に取るまではしたのですが
なんとなくもっとアホなどうでもいいホラーが見たくて
ふたたび棚に戻した、という作品だったのです。

TV放映でカットされた部分を、ちゃんとDVDで見たら
もっと納得できる内容だったのかしら。
それとも、あまり変わりはなかったのかしら。
じつに、ふくざつなところだわ……。

 * * *

大晦日。少年誘拐事件の捜査を仕切っていた
神奈川県警の警視、巻島史彦(豊川悦司)は、
一瞬のミスで、その犯人を取り逃がす。

少年は翌日、無残な遺体となって発見された。
マスコミの責任追求に、思わず暴言を吐いた巻島は
足柄署へ左遷となり、年月が過ぎた。

6年後、世間は3人の少年が被害者となった
連続児童殺害事件に、騒然としていた。

捜査が難航するなか
神奈川県警本部長の曽根要介(石橋凌)は
巻島を、ふたたび県警に呼び戻す。

そして巻島は、特別捜査官としてTV番組に出演し
犯人を挑発するという、大胆な行動に出た。

 * * *

歌い文句にある「劇場型捜査」という言葉に
わたしは、とても興味を惹かれていたのですが

あ、あのですね……いわゆる「キラ事件」で、世界の名探偵Lが
キラに対する、大胆かつ非常識な挑発をやってのけた
アレにすっかり感化されていて
せっかくのトヨエツの、犯人に対する挑発発言も
「あれ、なんか地味」と、つい思ってしまったのだ(爆)。

Ty18lo

慣れというのは、コワイものです……。

冗談はさておき
「主役が黙っていてどうする」には、そらもう痺れましたが
他の発言部分に、あまり言葉の吸引力を感じなかったんです。
迫力不足というか
「この挑発で、果たして犯人が乗ってくるのかしら?」と
正直なとこ、思ってしまった。

物語の描きかたにも、同じように感じられるとこがあって
連続児童殺害事件、6年前の誘拐事件、そして警察内部での権力争いと
3つ大きな柱があるのですが、どれも均等に描かれているために
説明不足だったり、なんとなく印象が弱かったりして
結局、あまりカタルシスも感じられず
すべてが不完全燃焼のまま、終わってしまいました。

「劇場型捜査」という部分にドーンと腰を据えて描いていれば
巻島と犯人の、それこそ切れるような言葉のやりとりを中心に
緊張感たっぷりに描いてゆけば
ものすごい傑作になったような気がするのに、惜しいなあ。
クセのあるいい役者さんも、揃ってたのになあ。
石橋凌って、絶対ただのオッサン役じゃないよなあ(笑)。

 * * *

ところで、犯人の声明文にあった「カーキ色」問題について。
泉美トモは、あれを「ほんとはカキ(柿)色」と推理し
「エンジ色を柿色と呼ぶ地方の出身者が犯人だ!」などと
「砂の器」めいたトンデモナイ先走りをしてしまったらしいぞ。

トホホ。トホホ肉。

Tc0305
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major 第4場

Tm02

【登場人物】
・大山賢太……末広大学2年生。19歳。映研部員。初の監督に挑戦中。
・黒木カオル……末広大学2年生。19歳。映研部員。屁理屈が多い。
・水村好男……末広大学2年。20歳。映研部員。通称よっちゃん。
・猪又博史……末広大学映研OB。24歳。卒業してから2年。
・猪又美耶子……猪又博史の妻。22歳。
・谷 雪耶……猪又博史の友人。24歳。末広大学4年生。

【第4場】

     夕方の学生サロン。5人が集まり、祝杯をあげている。
     ビールやジュース、スナック菓子などが、テーブルに並べられている。
     全員、すでにできあがっているようす。

大山 「猪又さんの、ヘルウィーク終了を祝して、カンパーイ!」

     口々に「カンパーイ」の声があがる。

黒木 「いったい何回、乾杯するんだ」

谷  「(ナッツを手に)ほーら、よっちゃん」

     谷が、ナッツを水村に向けて放る。水村、口を開けてキャッチ。
     大山もナッツを放る。水村、どうやらオモチャ扱いされているらしい。
     猪又と黒木は、話し込んでいる。

猪又 「(黒木に)ふうん、延ばすんだ」

黒木 「話しあって、準備期間をちゃんと置こうよってことになりました。
    1ヶ月あれば、脚本も絵コンテも何とかやれると思います。
    1ヶ月……ちょっと、キツいかな」

猪又 「やれるよ」

黒木 「あと、スタッフに役者、その他もろもろ。
    谷さんが、いろんな人に声かけてくれるそうです」

猪又 「……(うなずく)」

黒木 「あせって不本意なもの作るより、ちゃんとやりたいですから」

猪又 「俺もなるべく来るよ」

黒木 「ムリしなくても」

猪又 「来たいんだって。俺が。(大山に)大山、おい大山!」

     大山が気付いて、猪又と黒木のところに来る。

猪又 「黒木に感謝しろよ」

大山 「ありがとう。ありがとう、黒木くん。ン~(キスを迫る)」

黒木 「お前、グデングデン。わっこらやめろ。息を吹きかけるな」

水村 「(ナッツをキャッチしながら)一ヶ月後は、赤ちゃんも生まれてまふね」

大山 「(立ちあがり)猪又さんの赤ちゃん誕生を祝して、カンパーイ!」

全員 「カンパーイ!」

     サロンは、狂乱の域に達している。

大山 「えー、ここで直撃インタビューです!」

     拍手がわく。マイクに見たてた缶を猪又に向ける大山。

大山 「猪又さん。映画作るのと赤ちゃん作るのと、どっちが楽しいですか?」

猪又 「映画と赤ちゃんと? (意味ありげに)そりゃ、なあ」

黒木 「(同時に)大山バカッ」
猪又 「(同時に)映画だよ」

     全員、思わず顔を見合わせる。
     笑いをこらえているが、我慢できずやがて爆笑。
     携帯電話が鳴る。あわててとろうとする谷だが、彼のものではない。

大山 「あ、俺だ。(ディスプレイを見て)知らない番号」

     大山、みんなから離れて電話に出る。

大山 「はい。大山です。……はい? イシバシ映像企画?」

水村 「あっ、ぼくのおじさんだ!」

大山 「あ、はいはい。よっちゃ……好男くんに連絡とれずに。……はい、機材の件」

     全員、なんとはなしに電話に注目。

大山 「すみません。せっかくなんですけど、ひと月ほど待っていただいて
    いいでしょうか。あの、申しわけないんですけど、お金をなくしちゃって。
    あ、はいお金。……はい? (叫ぶ)そこにあるう!?」

水村 「あっ(立ちあがる)」

大山 「一週間前に好男くんが来て、自分じゃ失くすからって言って置いてったあ!?」

水村 「思い出したッ!」

大山 「はい……はい。ありがとうございます。失礼します」

     大山、電話を切る。水村をにらむ。

大山 「……よっちゃん」

水村 「エヘッ」

大山 「エヘッじゃないよ。……コチョコチョの刑!」

     あわてて逃げようとする水村を、黒木がつかまえる。

大山 「ナイスタックル!」

     大山と黒木、2人がかりで押さえこんで、水村をくすぐりまくる。
     笑いながら眺めている猪又と谷。

谷  「猪又」

猪又 「うん?」

谷  「俺さあ」

猪又 「うん」

谷  「結構、ムリしてたんだなあって」

猪又 「(笑う)お前、前からそうだよ」

谷  「なに」

猪又 「中学の修学旅行んときゲロ吐いたの、あれ、ゆで玉子のせいだろう」

谷  「……うん」

猪又 「俺のカバンの上に」

谷  「……うん(落ちこむ)」

猪又 「だからさ、ムリして食えないもん食わなくてもいいんだよ」

谷  「……うん」

猪又 「ムリしても、食えないもんは食えないし。
    ムリしなくても、いずれは食えるようになるものも、あるんじゃねえの?」

     谷、照れくさそうに笑う。

谷  「……なりたかったんだよな」

猪又 「うん?」

谷  「あんたみたいに。ずっと」

猪又 「ふーん」

谷  「でも所詮、他人になれるわけがないし」

猪又 「うん」

谷  「俺は、俺のままでいいのかなーって」

猪又 「うん」

     いっぽう3人組は、いつのまにか形勢が逆転。
     黒木がくすぐられる立場になり、プロレス技などもかけられている。

谷  「……でさ。前から聞きたかったんだけど」

猪又 「なに?」

谷  「俺にさ、よく玉子切ってくれてたろ。輪切りに」

猪又 「ああ」

谷  「あれ、不思議だったんだけど。
    そりゃ、丸のままじゃなくて、剥いて輪切りにしたら
    なぜかちゃんと食えるんだとは、言ったことあったけど」

     猪又、笑う。

猪又 「俺、そういうのが大好きなんだよ」

谷  「何が? 輪切りが?」

猪又 「人が『食えない』つってるものを、
    なんとかごまかして、だまくらかして、おいしく食わせるっての」

谷  「はあ?」

猪又 「そういうのが楽しくてたまんないの。
    そういうのに、この上ない幸せを感じるんだよ。俺って(笑う)」

谷  「なんだそれ(笑う)」

     3人組の形勢はさらに逆転。大山がくすぐられる立場になっている。
     谷、立ちあがり、大山たちの騒ぎに加わる。

     舞台は狂乱のまま、幕。

                                     (おわり)

Tc0211
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「major」アンケート

ここ3日間、SMAPが福岡で公演中だそうで。
友人もこの寒さのなか、泊りがけで出かけております。

数年前の台風のときも、最高におもしろい話が聞けたが
今回は、寒波襲来ときたもんだ(笑)。
お土産ばなし期待してるよ、MARUどの!

Tm02

と、いうわけで(?)うちの
ゆかいな映画小僧五人衆のお話「major」も
めでたく、フィナーレを迎えました。
毎度のことですが、感想アンケートを募集したいと思います。
差し支えなければ皆さま、お応えくださいませ。

 * * *

【1】 お気に入りのキャラは誰?
A 大山くん B よっちゃん C その他←ひとまとめかよ!(   )

【2】 お気に入りのシーンは?
(                 )

【3】 これから、どんなものを読みたい?
A 大山くんとよっちゃんのシリーズ
B 大山くんとよっちゃん以外のキャラが登場するBL小説
  例/黒木受け(笑)とか? 猪又×谷とか?

C BL以外のジャンルの小説(    )
D 戯曲、コミックなど、小説以外の創作作品(    )
E 映画の感想など、創作以外のもの

【4】 そのほか感想、質問、意見などあればどうぞ。
(                 )

メールのあて先は、こちら→「tomtit」へのメール
※回答には、お手数ですが上の文章をコピペしてお使いください。

 * * *

8月からですから、およそ3ヶ月の連載でした。
戯曲という、皆さんにはあまりなじみのない表現形式で
あまり、読みやすいものではなかったろうと思います。
そんななかで
楽しみにしてくれて、読んで下さっていた皆さん
どうもありがとうございました。

途中で、挿絵を入れるべきかなと思ったこともあったのです。
でも、戯曲(脚本)という表現手段は
この時点で完成しているわけではないのですよね。
お芝居の場合、これに演出家、舞台美術、役者など
作品にたずさわる、さまざまな人の持つイメージが立体的に加わり
そこで、はじめて完成品となるわけです。

もちろんわたしの中では、大山はこんな感じとか
よっちゃんはこんな感じとか、きちんとしたものがあるのですが
それで挿絵を入れてしまったら、イメージが限定されてしまうなあ
と、そう思ったので、けっきょく挿絵は入れないことにしました。
(舞台の配置も、とりあえず便宜上のものです)

そのかわりといっては何ですが
キャスティングごっこを、勝手に楽しむことができますだよ!
例えば、もし
大人計画の役者さんで、全員をキャスティングしたら……とか。
(それだったら、よっちゃんはおそらく荒川良々だな、とか)

いいんじゃない? 荒川良々(笑)

この後に及んで、気になるところといえば
谷さんの葛藤についての描写が、いまいち少なかったかなあ。
執筆当時は「いかに台詞を削って、シンプルな言葉で心情をあらわすか」
ということに、心血そそいでたんです。
いま読むと、ちょっともの足りない気もしますね。

あとね、算用数字と漢数字が、ごっちゃになっちゃってるの(笑)。

いずれも、いつか気が向いたとき
こっそり手を入れようと思います……。

Tc0211
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青空の卵

今日は、本の話題です。
「ひきこもり探偵シリーズ」というキャッチフレーズに
惹かれて、手に取った一作。
坂木司「青空の卵」(2002 東京創元社・2006 創元推理文庫)

うわ、うわあああ! な、なんだこれは!

この物語の語り手で
ワトソン役でもある「坂木司」のキャラクター造形は
まるで、うちのオリジナルキャラ・大山賢太なのだ。
いや、あそこまでバカでは決してないが(汗)
持っている雰囲気は、すっかりお、お、お、大山である!

さらに探偵役の「鳥井真一」は、ひきこもりで
他人とのコミュニケーションがうまくとれず
甘党で、全国銘菓をネットでお取り寄せするのが趣味なのだ。
もちろん、小柄・口が悪い・料理上手などの差異もあるけれども
これはまるで、名探偵え、え、え、Lである!
(し、し、しかも少々よっちゃんテイスト入り)

ああ、そうです。そうなのです。
わたしの脳内で、すっかりみだらに変換されてしまったこのお話は

大山とLの、夢のコラボレ~ショ~ン!!!

Ty17l12

この時点で、わたしはマトモな判断力を失いました。

 * * *

とにかくこいつら、いつもいつも
イチャイチャイチャイチャしてんのよッ!

坂木くんは、いつも鳥井のことを狂おしいほどに心配していて
鳥井は鳥井で、普段はクールなキャラなのに
坂木がちょっとでも涙ぐむと、つられて泣いちゃって
しまいにゃふたりでべそべそ泣いちゃって

「おまいらー!」って後ろからドーンと突き飛ばしてやろうかい
と思うぐらい、イチャイチャイチャイチャなのよッ!

 * * *

ミステリのつもりで読み始めたのですが
(ええ、たしかに創元推理文庫となっています)

ふたりの関係に、あまりにもこうふんしすぎて
中身を、ちゃんと憶えていません!(爆)

Tc0403
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仔羊の巣

先日、アップいたしておりました
「ひきこもり探偵シリーズ」第一作「青空の卵」のレビューでは
あまりにも乱れた自分を、さらけ出してしまい
まことに申しわけありませんでした……。

しぬほど反省して
続編「仔羊の巣」(2003 東京創元社・2006 創元推理文庫) では
きちんとした感想を書こうと
そう決意して、ページをめくったとたん!

イヤ~~~ン!

鳥井ちゃんてば、夏カゼひいてる~!
病院に行かないつって、ダダこねてる~!
坂木がそれを、必死で介抱してる~~!

この時点でわたしは、ふたたびマトモな判断力を失いました。

相変わらずの、ふたりのイチャイチャぶりで
なんちゅうかもー、ミステリどころではありません。
おまけに今回はこいつら、ホモに間違われさえします。

Ty17l13

キャ~~~ン!(はなぢブーーーッ!)

 * * *

ハア、ハア……失礼……つかまつった。

ええもう、せっかくですから、このまま勢いに乗って
次の「動物園の鳥」まで一気に読みます!

でもね、次でシリーズ完結なんだから
もうちょっと、落ち着こうね
ちゃんと、まともに読もうね、自分。

Tc0403
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私は貝になりたい

02

日本映画の黄金時代を築きあげたひとりである
橋本忍氏が、50年前の名作の脚本を
自ら大きくリライトしたと聞けば
これはもう、行くしかないです。
姿勢を正して、拝見するしかないです。

「私は貝になりたい」(2008/福澤克雄 監督)

 * * *

海辺の町で理髪店を営む、若い家族
清水豊松(中居正広)と妻の房江(仲間由紀恵)
ひとり息子の健一(加藤翼)は
貧しいながらも、幸せな生活を送っていた。

しかし、時は第二次世界大戦のさなか。
豊松も召集され、本土防衛のための部隊に配属される。

やがて、戦争が終わり
なんとか無事に帰ってきた豊松。
子どもも増えることになり
新しく生活をやり直そうとした、その矢先
豊松は、アメリカ軍に捕らえられる。

戦時中、捕虜を殺したという罪で
彼は「B級戦犯」として
裁かれることになってしまったのだ。

 * * *

これは、皆さん観るべきですよ。
いやもう、とにかく観るべきですよ。

わたしの、とくに印象に残っているところは
終盤、死を宣告された者だけに与えられる葡萄酒を
豊松が口にするシーンです。

ここの前後が、強烈にすごいので
観ている最中には、そこまで感じなかったのですが
あとから、まるであぶり出しのようにじわじわと
このシーンの印象が、強く深くなってきました。
ここがあるからこそ
ラストの、あの有名な言葉も効いていると思います。

 
死を告げられたあと、豊松は
やけになったように何杯も酒をあおり
自分の境遇を愚痴ります。

なぜ彼が、自分の人生について
全否定するような言葉を
あんなふうに、吐かなければならないのでしょう。
清水豊松という人物は、本来
けっしてそういう人物ではなかったはず。

ちょっとお調子者なとこもあるけど
情に厚くて、みんなにも人気があって
家族をとても大事にしています。

弱い人はかばおうとするし
尊敬する人に対しては礼を尽くす。
苦労は山ほどあっても、おくびにも出さず
希望をかてに、笑顔で乗りきる力を持っている。

確かな技術を持ち、誠実な仕事をし
きちんと地に足を着けて生きてきた人で
それを、本人はきっと誇りにもしていたはずです。

そういう人の、生きる希望が
ささやかながらも純粋な矜持が
それこそ生皮を剥ぎ取るようにして奪われたあとの姿は
無残でしかありません。

彼をそのようにしたのは、まぎれもなく戦争。

戦争は、本当に
何もかもを奪っていくものなのです。

 * * *

……ところでうちのパソコン
先日から「ナカイ」って入力すると
必ず「名貝」と、変換されるんすけど(笑)な、なんで?

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リンクリンクリンク

03

つい1時間ほど前、「カテゴリー 映画・テレビ」を開いてボーとしてたら
いきなりお菓子の雨が降ってきて、そのあとデカいLって文字が降ってきて
そりゃもう、びっくらこいたよ!

そうだそうだ、自分がLcWのブログパーツを貼ってたんだな。
(しかも関係ないのに「コンスタンティン」のページにな)
毎時00分になったら、Lの好きなあれやこれやが降ってくるんだったな。

知らない人がアレにいきなり遭遇したら、驚くだろうな。
驚いちゃった人、どうもすみませんでした。

んで、思わずデカいLの字をクリックしちゃって
LcWの公式サイトに行っちゃって
あのえるるんのスネたような口調の予告編を、ひととおり見ちゃって
「んふ~(涎)」てな感じになっちゃって、幸せになって戻ってきました(笑)。

 * * *

リンクついでに
今年で10回目という、招き猫の作品展に
友人の造形作家・菊池美登利氏が出品しています。
よろしければ、彼女の作品に、応援の一票をお願いします!

「第10回 平成の招き猫100人展」

ギャラリーB → No.26 菊池美登利
で、よろしくお願いします。
スタジオジブリのアニメなんかに出てきそうな猫キャラ。
(んで、声はきっと美輪明宏!)

 * * *

さらに、友人のすすめで
amazonのアフィリエイトとやらを始めてみました。
ヒマをみながら、映画や本の感想ページに
それぞれ、リンクを貼りつけていこうと思います。

(そうそう、amazonといえば、先日ペンタブレット購入の際
宅配業者さんに電話で「amazonさんからお届けものです」と言われ
一瞬「は? あ、あまぞのさん!? 誰? 知らん知らんそんな人(汗)」と
てっきり、無差別テロかと思って焦ったのだった……)

あ、いや、そんなわけですが、わたしの文章によって
皆さんの購買意欲が上がるとは(笑)とうてい思いませんが
これで、本の装丁などご覧いただけますし
amazonのページに行けば、他の人のレビューも読むことができます。

ちなみに、こないだトチ狂いながら紹介していた「青空の卵」は
こんな感じ↓

ええっ、中古でい、い、1円! や、や、安すぎ(笑)。

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