名探偵の紅茶談義(3)

いつのまにか超マジになってしまった(笑)
杉下右京と、ワタリとLの楽しい夢、最終回っす。
* * * 妄想アワー * * *
杉下 「なにしろわたしは、ずっと嫌われ者だったんですよ。警察の中で」
杉下、カップをテーブルに置き、静かに指を組む。
杉下 「自分では決してそう思わないのですが、ある人物に言わせると
わたしはたいそう頑固で、不器用で、あまのじゃくらしい。
それがわたしを、現在のこのような状況に
置かせているのだと思いますがね」
穏やかに微笑むワタリ。
杉下 「わたしは昔、人を人とも思わなかったような部分がありました。
現在がそうではないとは、決して言いきれませんが
自分でも、変わったなと思うことが、たびたびあります。
亀山薫という人物と、長いこと一緒にいたおかげでしょう。
どんなに性格や、年齢がちがっていても
気の合う人間というのは、いるものなのですね。
彼の大きな器と申しますか、人柄と申しますか
ぼくは、何度も何度も、それに助けられたんです」
杉下の話を、黙って聞いているワタリ。
杉下 「……パートナーの力は偉大ですね。
このような変化が起きるなんて、以前は夢にも思わなかった。
こんな頑固で、不器用で、あまのじゃくなわたしでも
ずいぶん、成長できたのではないかと思いますよ」
はっとして、慌てたように言いつくろう杉下。
杉下 「すみません、聞かれもしないのに
つい自分のことをペラペラ喋ってしまいました。
いまの話を全部、名探偵さんに聞かれていたかと思うと
じつにお恥ずかしいかぎりです」
ワタリ「いえいえ、素敵な話を聞かせていただきましたよ。
……では、Lからは、あらためて連絡がいくと思います。
その折はまた、わたしを通してということになりますが
よろしいでしょうか」
杉下 「(ソファから立ちながら)ええ、もちろん。
今度また、美味しい紅茶の話でも、じっくりやりたいところ」
ワタリ、杉下をドアまで見送る。
杉下 「(くるりとふり向いて)そうそう、もうひとつ」
ワタリ「はい」
杉下 「あの竜崎くんという青年にも、よろしくお伝えください。
雰囲気が、ぼくの若い頃にちょっとだけ似ていて
なんというか……他人とは思えない」
ワタリ「(苦笑しながら)承知しました」
※場面転換。
スイートルームの隣室にいるL、マカロンを頬張りながら
モニタ画面に映った、杉下の映像を眺めている。
ホテル内の、監視映像の中にいる杉下は
ちょうどロビーを過ぎ、エントランスを出ていくところだ。
ワタリがティーセットの盆を抱え、部屋に入ってくる。
L 「(もぐもぐしながら)ずいぶん楽しそうに話をしていましたね」
ワタリ「この年になると、なかなか
趣味の合う人間には、出会えないものですからねえ」
L、椅子をゆらゆら回しながら、マカロンを頬張る。
ワタリ「それにしても、さっきは驚きましたよ。
まさか、急に入ってくるとは思わなかったもので」
L 「わざわざこの場所まで、呼びつけたのですから
モニタ越しではなく直に見たほうが、ベターに決まっています」
L、紅茶を飲もうとするが
カップの中に、お茶はもうない。
L 「だがそのおかげで、ここもすぐ引き払わなくてはならない。
この部屋は、けっこう気に入っていたのに……」
ワタリ「(お茶の準備をしながら)いいんじゃないですか?
あの人物は、信頼できるようではないですか?」
L 「気付いているのに気付かないふりをするのは、上手いですよね」
ワタリ「それは、信頼できるということ、それともできないということ」
L、黙ったまま。
ワタリ、新しく紅茶を淹れる。
L 「(不意に)ここに設置してある浄水器は、そんなに特別なものなんですか?」
ワタリ「浄水……ああ、さっきの水道の濾過装置の話ですね。
あの濾過装置においては、わたしが独自に開発した製品ですよ」
L、黙ったまま。
ワタリ、紅茶を淹れたカップをLの前に置く。
L、カップを手に取る。
一瞬、そのままで飲もうとする気配を見せるが
ワタリが、自分のほうを見ているのに気付くや否や
角砂糖を8個すばやく取り、カップにボチャボチャ放り入れる。
さらに2個を加えて入れ、やたら激しくかきまぜる。
そしらぬふりで部屋を出て行くワタリ。
満足げに微笑みながら、こっそりとつぶやく。
ワタリ「頑固で、不器用で、あまのじゃく……」
おわり。
| 固定リンク
「Lバカ日誌」カテゴリの記事
- 名探偵の廻る寿司談義(1)(2009.10.28)
- 名探偵の廻る寿司談義(2)(2009.10.31)
- 名探偵の紅茶談義(2)(2009.05.18)
- 名探偵の紅茶談義(1)(2009.05.08)
- 名探偵を熱く語る(3)(2009.09.01)


コメント
初めまして。名探偵の紅茶談義、とても面白かったです。水谷豊さんも右京さんもデスノートL&ワタリさん、松山ケンイチさんも好きなのでこのお話を読んだとき、キターー!!という感じでした。「相棒」の右京さんの相棒、松山さんが演じて欲しかったです。また遊びに来ますのでよろしくお願いします。
投稿: ヒロ | 2009.05.24 01:41
ヒロさん、いらっしゃいませ。
楽しんでいただけて、とても嬉しいです。
右京さんの新しい相棒、及川ミッチーが
死ぬほど楽しみなんですけど(笑)
なるほど! 松ケンもかっこよさそう!
銭ゲバのときに、スーツで走る姿がかっこよかったので
あんな感じで刑事役をやって欲しいですね。
L&ワタリと右京さんシリーズは
ひょっとしたら、続く……かもしれません。
少なくとも、わたしの頭の中の妄想は止まってないので(笑)。
投稿: イズトモ | 2009.05.25 09:20