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2012年11月

祝(ほうり)の島

Ty71bana

最近、うれしいことに、小規模の自主上映会で
良質のドキュメンタリーを見る機会が増えています。
この映画もそのひとつ。

「祝(ほうり)の島」(2010/日本/纐纈(はなぶさ)あや 監督)

 * * *

瀬戸内海にある、山口県熊毛郡上関町祝島(いわいしま)。
人口500人ほどの、小さな小さな過疎の島です。
住民たちは助け合いながら、豊かな自然とともに生きてきました。

ところが1982年、島の対岸のわずか数キロの場所に
原子力発電所の建設計画が、持ち上がりました。

 * * *

以前にも紹介した「ミツバチの羽音と地球の回転」と
同じ島をモチーフにした作品です。
監督の纐纈あやさんは「アレクセイと泉」を作った本橋成一監督の
チームだったそうで、どうりで作風が似てると思いました。

淡々と、淡々と、島の人々の暮らしを追っています。
それはもう、気持ちが良いほど淡々と。
訛りがひどくて、ときどきナニ喋ってるかわかんないし(笑)。

わたしのお気に入りはですね
「おばあちゃんたちはパンが大好き」つって
大事そうに、みんな並んで食パンとかロールパンとか抱えてるとこ。
紅白歌合戦を見てたのに、みんな寝てしまって
で、新年の直前にみんな起きてるとこ。
(見ながら「あっ起きた」って思わず口に出しちゃったわ)

集落にある、独特な石積みの練塀がすばらしいです。
あの路地を歩いたら、あまりにうれしくて
失神するかもしれないと思いました。

そして、明治生まれのおじいさんが
ひとりで築いたという、それはもうみごとな棚田。
一段一段が、すごく高いの。で、積まれた石が
ひとりでどうやって運んだのっていうほど、すごく大きいの。

あと、お祭りのときの吹流しが、中国式の竿の立てかたになってましたねえ。
縦に1本竿を立て、そこに斜めの竿1本をひっかけて
吹流しは、斜めの部分にかけます。
風がないときでも、きれいになびく仕組みです。

これは以前、興味を持って調べたことがあって(なぜとか聞かないで)
現在は田舎に限ってのことですが、長崎を中心に、九州、山口のあたりまで
こいのぼりは、そういう立てかたをするらしいのです。
「おー、裏づけ取れた」って、ひとりでほくそえんでました。

 * * *

そんなこんなで、田舎の、のんびりした暮らしの映画を
見てたら、このじいちゃんばあちゃんは
原発に、30年間「NO」と言いつづけてきてるんだ
ってことを、つい忘れそうになります。

あえて、その部分はソフトに描かれていますが
口では言えないほど、つらいこと、いやなことが
山ほどあったに違いない。
最後のほうで「推進派も反対派も、気持ちは同じ」と
話しておばちゃんがいましたけど、きっとそのとおりで
どっちの道を選ぶかの判断が、違っていただけで
すべては「島を守りたい」という一心から出たことでしょう。

そんなふうに、不条理を押し付け、人のこころを蹂躙する
大きな力が、いまの世の中には働いているし
本当にわたしたちが、強く立ち向かわなければならないのは
そっちなんだって思いました。

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↓せっかくなら、もよりの上映会がオススメ
  祝の島@ぴあ映画生活

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デュー・デート

Ty120927

ロバート・ダウニーJr.出演作品がつづくよー!

「デュー・デート 出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断」
                    (2010/アメリカ/トッド・フィリップス監督)

 * * *

わが子の誕生を5日後に控えたピーター(ロバート・ダウニーJr.)。
出産に立ち会うため、仕事先のアトランタから
自宅のあるロサンゼルスへ向かおうと、飛行機に乗り込む。

だが、妙な男のせいでテロリストと疑われ、搭乗拒否に。
財布も身分証もなくし、途方にくれるピーターの前に
妙な男がふたたびあらわれて、車での大陸横断を持ちかける。

男の名はイーサン(ザック・ガリフィアナキス)。
俳優志望の彼は、ハリウッドへ向かう途中だった。

 * * *

とても評判のいいコメディ「ハングオーバー!」と
同じ監督さんによる作品。
「ハングオーバー!」は、おもしろかったけど
これはイマイチ……という声も、あるにはあるんだが
わたしは、こっちの方が好きかも!

なんたって、ごひいきの役者さん(ロバート・ダウニーJr.)が
ごひいきの状況(ひどい目にあってボロボロ)に、という
それだけで、わたしはう~んと楽しかったのでした~(笑)。

しかも、ロバート演じるピーターが
最初、かなり感じの悪い、いけすかないヤツでしてね。
それが、どんどんユル~くなってくるんです。
こういう隠れカワイイ役をやらせたら、こいつの右に出るものはいないな!

「ハングオーバー!」で、かなり存在感のあった、ザック・ガリフィアナキスも
おそらく、アレ以上にバカです。
小麦粉アレルギーつってながら、ワッフル食べてるし!
(くそう、ワッフルの画像、持ってない!)
ズボンのシルエットも変ですし!

あの「君のお父さん、飲んじゃってごめん」には、吹きましたね~。
しかも、あそこで共演してるの、ジェイミー・フォックスなのよね。
「路上のソリスト」と、つづけて見たのに
同じ役者さんだとは、まるで気付かなかった(><;

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デュー・デート ~出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断~@ぴあ映画生活

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路上のソリスト

Ty120706

前回があまりにもナニだったので、反省して
今回は、こころに響く作品を紹介しようと思う……。

「路上のソリスト」(2009/アメリカ/ジョー・ライト監督)

 * * *

ロサンゼルズ・タイムズの記者
スティーヴ・ロペス(ロバート・ダウニーJr.)は
公園で奏でられる、バイオリンの音に気づく。

演奏していたのは
ホームレスの男、ナサニエル(ジェイミー・フォックス)。
べートーヴェンを敬愛し、ジェリアード音楽院にもいたと言う。
彼のバイオリンには、弦が2本しかない。

スティーヴは「コラムの材料になる」と
彼の過去や生活を、取材しはじめる。

 * * *

実話らしい、ということで
「ホームレス音楽家が、新聞で紹介され成功する」
みたいな、こころ温まるサクセスストーリーを、勝手に想像して
敬遠(敬遠かよ!)していてスミマセン。

おまけにその記者が、ロバート・ダウニーJr.で
バリバリやり手の記者役なんて、彼には似合わないわあ
なんて、勝手に思っててスミマセン。

そして、のっけから、スティーヴの交通事故シーン!
(本編に関係ないが、事実がそうだったらしいんで)
ロバート・ダウニーJr.が、満身創痍の姿で登場し
わたしのこころを、ワシづかみにーー!(笑)

思っていたような、単純な、サクセスストーリーではなく
もっと繊細な、ふかく何かを突きつけられるお話でした。
誰もが持ってる「人の役にたちたい」という気持ちや
「けどそれが、ホントに相手のためになるの?」という迷いや
「じゃあ、自分はいったい何がしたいの?」という問いや
いろんなものを突きつけられました。

そうはいっても答えは出ない。出ないんだけど。

実際の路上生活者たちや、支援グループのスタッフが
エキストラで参加しています。
これによって少しでも、明るい楽しい思いをして
彼らのふところが、あたたまってくれるといいなあ。

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  路上のソリスト@ぴあ映画生活

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発狂する唇

Ty121003_2

すみません、ふしぎな日本の作品をもーいっちょー(笑)。
あきらかに「カルト」と呼ばれる類の作品です。

「発狂する唇」(1999/日本/佐々木浩久 監督)

 * * *

女子中学生の猟奇殺人事件が起こった。
容疑者は、行方をくらましており
残された彼の母親と、ふたりの妹は
マスコミや周りの人々にいやがらせを受けていた。

そんな中、兄の無実を信じる末妹の里美(三輪ひとみ)が
霊能者に助けを求めた。
真犯人は兄ではない、と、断言する霊能者。

さっそく、家におもむき、降霊の儀式を行い
少女たちの霊を呼び寄せようとするが
その儀式を行うために、母親や姉が生け贄となり……。

 * * *

いやー、すごかったっす(笑)。
エロ、グロ、バイオレンス、スプラッタと
「モラル」以外は、なんでもアリの、この世界観!
歌は歌うし(ただし音痴)、カンフーアクションもあります。
当然ですけど、ストーリーはしっちゃかめっちゃかです。

ヒロインは、カルト的な人気を誇る
「和製ホラークイーン」の、三輪ひとみ。

そして、FBI捜査官ってのも登場するのですが
そのひとりが、コメディ俳優として(TRICKのころだよねたぶん)
ブレイクするかしないころの、阿部寛なんです!
「怪しい者じゃないから」って(笑)どう見ても怪しいって!
大杉蓮も登場します。
つい思った。「この人、仕事選んでないんだなあ……」

しかし、つくづく感心したのが、お母さんを演じる
吉行由実さんという無名の女優さん。
(いま調べると、監督業もこなすベテランさんだ)
巷を騒がせている「尼崎のナントヤラ」的な展開のなかで
ああいう状況にハマっていく役を、リアルに演じています。

このあたりのストーリーは、ホントに気持ち悪いので注意!
しかし、がまんをして、ここ過ぎたら
だんだん変に、おかしく、楽しくなっていきます。

そしてラストには、妙なカタルシスがあるとか、ないとか。

Tc0117
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